光を見つめて具体的に歩くこと 〜会いたい人に会いに450kmの旅〜

現在保育専門学校の先生をしています。それは、自分の短大時代の先生や、学びがあまりにも素晴らしかったからです。いつもいつも、「先生たちみたいになりたい」と思っています。たまに、「あ、あの時の先生のように学生たち感じてくれているかもしれない」と思う瞬間もあります。悩んだ時言ってもらった一言や、褒めてもらった嬉しさ、一緒に画廊めぐりをした楽しさを昨日のことのように思い出せます。20年以上経っても尚色あせない、教育のあの輝きを、教員の在り方を、目指していきたいのです。

青山学院女子短期大学の芸術学科の先生方は日本を代表する彫刻家や、画家や、デザイナーでした。児童教育学科の先生は、保育士試験の問題を作っていたり、児童書の翻訳をされていたり、絵本作家だったり、素晴らしい実践をしている園長先生だったり、どの先生も本当に素敵でした。

芸術学科の2年と、児童教育学科の2年と専攻科の1年、合計5年の学びはどれも心に残っていますが、ゲド戦記を翻訳された清水真砂子先生の児童文化が本当に楽しみでした。毎回、最前線でご活躍されている作家さんや評論家の方がいらっしゃるのです。上野瞭さんや、クレヨンハウスの岩間さんや、ガンバとカワウソの冒険の斎藤惇夫さんや、本当に贅沢すぎる授業でしたが、中でも一番心に響いたのが、絵本作家のまついのりこさんの授業でした。

子どもの頃から親しんでいた「ころころぽーん」をはじめとしたたくさんの絵本。作者に会えることをとても楽しみにしていました。

とにかく時間の全てが感動でしかなく、たった1回の出会いから20年以上、お手紙のやりとりをしたり、出産のたびにお祝いに絵本をいただいたり、シルクスクリーンをいただいたり、とにかくもう、していただくオンリーの、自分は何もしていないのに、こんなに受け取るだけでいいのかというつながりが続いていました。

札幌にいらっしゃったこともあり、長男と次男を連れて行くと、本当に喜んでくださいました。

Unicode

のりこさんは昨年2月に亡くなりました。こんなに有名な方だから、絶対にニュースで気づくと思っていて、でも1年経つまで気づくことができませんでした。部屋を片付けていたら、なぜか1通だけ未開封の手紙があり、娘さんであるエイコさんと朝子さんからの「しのぶ会」のご案内でした。お知らせいただいていたなんて!!

それで、いつもしていただいてばかりで、ご案内のお返事もせずに不義理で申し訳なくて、お手紙書こう書こうと毎日思っていて、でも何から書いたらいいんだろうと思って書けず、そのうちに壁画家である、のりこさんの長女エイコさんが北海道に来るらしいと知り、日程もぽっかりその日だけ空いていて、士別遠いけど行けなくはないと思って、エイっと行くことにしました。

なぜエイコさんが北海道に来るのがわかったかというと、5月の仙台での保育学会で紙芝居の発表をされていた先生に当日話しかけた時に教えていただいたのです。そこで、名刺に書いてあった連絡先に連絡して、日程を詳しく教えていただくことができました。私は大事な出会いを次につなげていくのが好きです。

保育実習でも使い、担任してた子どもたちに読み、子育てに使い、専門学校で今も使っている20年以上前に買った紙芝居、いただいた版画や絵本、お手紙を持って、朝6:30に出て士別に向かいました。

今回は紙芝居文化の会の2泊3日の合宿でした。

紙芝居文化の会

この日の午前は士別市内の保育園や小学校でそれぞれに紙芝居を演じるという日程。全校生徒19名の小学校で、士別ふるさと大使でもある松井エイコさんが紙芝居を演じるのを見せていただきました。子どもたちは1年生から6年生まで45分しっかり集中して聞いていました!

図書室の前にはのりこさんとエイコさんの紙芝居と絵本のコーナーが作られていました。

くいしんぼうのまんまるおにはエイコさん作の紙芝居です。子どもたちの前で模造紙にまんまるおにを描いたら、みんなとっても喜んでいました。

終了後は小学校の近くのイナゾーファームさんを見学。

トマトへの情熱が半端ではない!

気候について、設備について、トマトの管理について、本当にたくさんのことを考えながら、気が遠くなる量のトマトを育てていました。

絶品トマトジュースは、宿泊された方たちから大好評で、ダース買いされた方もいたそうです!

ぜひホームページ見てみてください。幸せそうだったな~。

イナゾーファーム

お昼は会員の皆さんが合流して、各保育園や小学校での子どもたちの様子を報告しました。こんなにも紙芝居を大事に思っている方がたくさんいて、集っていること、そのあたたかい雰囲気がとても素敵でした。今は授業で取り入れているくらいですが、そのうち札幌でももっと紙芝居を広めていきたいです。

お昼に解散してから、後援に設置されているエイコさんの壁画と彫刻を観に行きました。子どもたちが「見たことある―」「知ってるー」と言っていたのはこれでした。

立体も素敵でした!!

士別町には、保育園や小中学校などにエイコさんの壁画やステンドグラスが設置されています。

羊が有名な士別、マンホールのふたが可愛かったです。

さて、ここで13:30。もしかして名寄近い?!と思い、先日の絵本学会で出会った名寄市立大学の先生で絵本作家の堀川真さんの研究室にお電話をしてみると、今から家庭文庫を開けるとのこと。車で30分か〜。もうなかなか来れないだろうしな。もちろん出発。

なんと、openは週1回月曜のみ。なんてタイミングがいいのでしょう。再会した堀川先生に、「持ってるね~」って言われました。

いい絵本がいっぱい!右側下から3段目が堀川先生の著書のコーナーです。絵がもう本当にかわいい!

堀川先生はファイターズの絵本を描かれていますが、思っていた以上に多作な方でした。あ!この本書店で見たことある!出張の時にも使えそう!「北海道わくわく地図絵本」。

購入してサインしてもらいました。やったー。

帰りに剣淵の道の駅に寄って、

砂川パーキングエリアで北菓楼のベネズエラチョコソフトを食べて、

「遅れてごめん。ちょっと名寄行っててさ」と、子ども劇場の話し合いに参加して、赤ちゃんのママを家まで送ってから帰宅。そりゃあもう450キロ。

今回のお土産は、子どもたちにもち米がたくさんとれる名寄のいちご大福と、夫の父と夫に男山の大吟醸と、自分用にだしパウダーとこくわジュース。

日本酒はおとうさんと夫の父の日に。今週末の次男の誕生会で飲んでらおうと思って買いました。

だしは、ん?なぜか利尻だった。ガクッ。まあ、美味しいならいいか。

今回のお宝は、堀川先生の絵本、松井エイコさんの紙芝居「くいしんぼうのまんまるおに」、

そして、この日程を教えてくださり、調整してくださったまえとくあきこ先生の「くらべっこ くらべっこ」。

たくさんのエネルギーがチャージされた充実の1日でした。

まついのりこさんが授業で言っていました。

「光を見つめて具体的に歩くのよ」。

光を感じること・光を見つめること・具体的であること・ちゃんと歩くこと。

一言になんて大事なことがたくさん入っているのでしょうか。私は20年以上ずっと、この言葉を時折思い出しています。光が足りない時も、具体性が足りない時も、行動が足りない時もありました。でもまた、光見つめて具体的に歩けばいいのです。コーチングみたいに。

のりこさんが亡くなって寂しいですが、本当にたくさんの偶然がつながって、こうしてエイコさんとベストタイミングで出会うことができました。やっぱり小さな光が見えたら具体的に行動しないとね!

まずは午後の授業で学生たちに紙芝居を紹介したいと思います。文化を手渡すのは小さな1歩から。さ、授業に行く準備します!

この1日が、また未来へとつながっていきますように。

  • 光を見つめて具体的に歩くこと 〜会いたい人に会いに450kmの旅〜 はコメントを受け付けていません
  • 日々の記録

関連記事

コメントは利用できません。
ページ上部へ戻る